JAバンク大阪 地域貢献活動

JAバンク大阪における地域密着型金融の取組状況(2022年度)

JAバンク大阪(大阪府内JAと大阪府信用農業協同組合連合会)では、農業と地域社会に貢献するため、
2022~2024年度JAバンク大阪中期戦略に基づき地域密着型金融の推進に取組んでおります。
2022年度の地域密着型金融の取組状況について取りまとめましたので、ご報告いたします。

① 農山漁村等地域の活性化のための融資を始めとする支援
  (JAバンク大阪の農業メインバンク機能強化への取組み)

 JAバンク大阪は、地域における農業者との結び付きを強化し、地域を活性化するため、次の取組みを行っています。

(1)農業融資商品の適切な提供・開発

 JAバンク大阪は、各種プロパー農業資金を提供するとともに、農業近代化資金や日本政策金融公庫資金の取扱いを通じて、農業者の農業経営と生活をサポートしています。
 2023年3月末時点のJAバンク大阪の農業関係資金残高(注1)は4,427百万円(うち農業経営向け貸付金3,396百万円)、日本政策金融公庫等の受託貸付金(注2)残高は1,356百万円を取扱っています。

(注1)
農業関係資金とは、農業者および農業関連団体等に対する貸出金であり、農業生産・農業経営に必要な資金や、農産物の生産・加工・流通に関係する事業に必要な資金等が該当します。
(注2)
JAバンク大阪が農業者の窓口となり、日本政策金融公庫などの貸付金の受託取扱いを行っています。
  • 営農類型別農業資金残高

    2023年3月末現在
    農業 3,396
      穀作 414
    野菜・園芸 1,069
    果樹・樹園農業 222
    工芸作物 0
    養豚・肉牛・酪農 9
    養鶏・鶏卵 3
    養蚕 0
    その他農業 1,679
    農業関連団体等 1,031
    合計 4,427

    (単位:百万円)

    (注)

    1.
    「その他農業」には、複合経営で業種が明確に位置づけられない者および農業サービス業が含まれています。
    2.
    「農業関連団体等」には、JAや全農(経済連)とその子会社等が含まれています。
  • 資金種類別農業資金残高

    種類 2023年3月末現在
    プロパー農業資金 4,383
    農業制度資金 44
    農業近代化資金 36
    その他制度資金 7
    合計 4,427

    (単位:百万円)

    (注)

    1.
    「プロパー農業資金」とは、JAバンク原資の資金を融資しているものをいいます。
    2.
    「農業制度資金」は、①地方公共団体もしくは日本政策金融公庫の資金をJAバンク大阪が転貸で融資するもの、②地方公共団体等が利子補給等を行うことでJAバンク大阪が低利で融資するものを対象としています。
    3.
    「その他制度資金」には、農業経営改善促進資金(スーパーS資金)や農業経営負担軽減支援資金などが該当します。
  • 農業資金の受託貸付金残高

    種類 2023年3月末現在
    日本政策金融公庫資金 1,356
    その他 0
    合計 1,356

    (単位:百万円)

    (注)

    JAバンク大阪では、主にはJAを窓口として、日本政策金融公庫資金の受託貸付金を取扱っています。

  • 大阪府の農業近代化資金のシェア

(2)担い手のニーズに応えるための取組み

 JAバンク大阪では、地域の農業者のニーズに応えるため、様々な取組みを行っています。
 JAでは、本支店(所)の農業融資担当者が営農・経済部門等と連携しながら、農業融資に関する資金提案や経営相談対応等を実施しています。これを支える体制として、豊富な農業金融知識をもった農業融資の実務リーダーである「担い手金融リーダー」を、2022年度末時点で14JA・信連で31名配置しています。
 また、JA系統独自の農業融資資格制度「JAバンク農業金融プランナー」を導入しており、有資格者は2022年度末時点で府内に463名となっています。この制度は、農業融資の実務に即した資格の取得を通じ、農業金融に関する知識・ノウハウの一層の充実を図り、多様化・専門化する農業者の金融ニーズに応えていくことを目的としています。
 信連では、JAのサポート指導機能、農業法人等への融資相談機能を担う「県域農業金融センター機能」を構築しており、これらの機能の拡充、強化に努めています。

(3)JA内事業間連携の強化

 農業者の多様なニーズにJAをあげて応えていくため、営農・経済事業等との合同会議・研修会の開催や農業者への同行訪問等により、これまで以上に、JA内事業間連携を強化しています。

② 担い手の経営のライフステージに応じた支援

 JAバンク大阪は、担い手をサポートするため、ライフステージに応じて、次の取組みを行っています。

(1)次世代農業者の育成支援

 JAバンク大阪では、新規就農者の経営と生活をサポートするため、青年等就農資金等を取り扱っています。

新規就農者をサポートする資金の取扱い実績

  2022年度
実行件数
2022年度
実行金額
2023年3月末
残高
青年等就農資金 11 129 353
就農支援資金 9
JA新規就農応援資金 7
その他
合計 11 129 369

(単位:件、百万円)

(2)食農バリューチェーン構築による農業・地域の成長支援(商談会・ビジネスマッチング)

 JAバンク大阪は、農林水産業の事業力・収益力強化のため、商談会・ビジネスマッチングによる販路拡大支援等の農商工連携に取り組んでおり、「農業者と産業界の架け橋」として多様な機能を発揮しています。

2022年度 商談会等開催状況

商談会名 開催日 主催者 参加団体数 総来場者数 内容
食農ネットワーク会議 4月以降随時 農林中央金庫 情報提供 2件
(3)生産者と消費者をつなげる場の設定

 JAグループ大阪では、中央会・各連合会が一体となって大阪農業振興サポートセンターを立ち上げ、大阪農業振興のための様々な取組みを行っております。
 2022年度は大阪産農産物PRとして、お好み焼き店との泉州キャベツキャンペーン及び老舗喫茶店との大阪いちごフェアを展開しました。
 また、農家組合員の農作業に関する労働力不足への対応として、府内3JAにおいて開設している無料職業紹介所により農家組合員に求職者を斡旋しました。
 また、大阪農業ポータルサイト「大阪で農業っておもろいやん!」での情報発信により、農家労働力確保の促進と大阪産農産物のPRを図りました。
 引き続き大阪農業・地産地消の素晴らしさを発信するとともに、農家と消費者をつなげる役割を担います。

(4)災害等の被害を受けた方への支援

 JAバンク大阪では、平成30年台風第21号の被災者を支援するため、災害復旧農業融資利子補給・JAバンク大阪農業融資災害対策利子助成を実施しました。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた農業者に対し、(株)日本政策金融公庫の受託資金を主とした融資対応を行うことで、農業経営の維持・再建の支援を行っています。

取組事例 JA名 内容 件数 補給・
助成金額
新型コロナウイルス感染症
の影響を受けた農業者に対
する資金繰り支援
JAバンク
大阪
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた農業者に対する資金繰り支援として日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の対応をしました。 6 39,000
災害復旧農業融資利子補給 JAバンク
大阪
平成30年台風第21号により被災された農業者を対象に、大阪府と協調し、無利息で被災農業者の借入負担の軽減・農業経営の維持や早期の経営再建を支援するために、利子補給を実施しました。 2 20
JAバンク大阪農業融資
災害対策利子助成
(平成30年台風第21号による
 災害復旧支援)
JAバンク
大阪
平成30年台風第21号により被災された農業者を対象に、実質無利息で被災農業者の借入負担の軽減・農業経営の維持や早期の経営再建を支援するために、利子助成を実施しました。 78 1,824

(単位:件、千円)

(5)事業性評価を通じた農業者の経営課題の把握・課題解決ソリューションの提供・蓄積

 JAバンク大阪では、農業者の所得向上に向けて、経営課題に対する幅広いソリューション提供を行っています。業種特性や外部環境、内部環境等を踏まえた分析や農業者へのヒアリング等により、経営・事業全般の課題を抽出・整理し、課題の解決に向けてサポートしていきます。

(6)大阪府立環境農林水産総合研究所への研究支援

 JAバンク大阪では、主に大阪府域の農業者、JA、事業者に貢献する技術開発、技術教育等を支援することにより、将来的に地域産業の発展に寄与することを目的に、大阪府立環境農林水産総合研究所と研究支援基本協定を締結し、2020年度より研究費の支援を行っています。

2022年度 研究支援の実績

研究テーマ
大阪発の新技術:複数台木苗の利用による水ナスの増収効果の検証とトマト・キュウリへの応用
電解水を利用したイチゴの安心栽培技術の構築
水ナスの根域拡大を目的とした緑肥作物による土壌硬度の改良
大阪府南部へ侵入しつつあるニホンジカの定着状況把握と、普及啓発による農業被害予防
(7)産学連携による研究支援

 JAバンク大阪では、「食・農・環境」分野における研究支援や相互の連携を通じて大阪都市農業の更なる発展と豊かな地域社会の実現を目指しています。

2022年度 産学連携の実績

大学名 支援対象者 支援研究数 研究内容
大阪公立大学 農学研究科
塩崎 修志 准教授ほか3名
4 野生ブドウを活用した
「大阪ワイン」ブランド用ブドウ新品種の選抜と
機能性成分強化方法の確立 等

③ 経営の将来性を見極める融資手法をはじめ、
  担い手に適した資金供給手法の徹底

 JAバンク大阪では、担い手の経営実態やニーズに適した資金の提供に努めています。

●資本供与の取組み(ファンドの活用)

 JAバンク大阪では、農業法人に対してアグリシードファンド活用の提案を行っており、農業法人の成長を支援しています。

④ 農山漁村等地域の情報集積を活用した 
  持続可能な農山漁村等地域育成への貢献

 JAバンク大阪では、地域社会へ貢献するため、次の取組みを行っています。

●食・農への理解促進

 JAバンク大阪は、地域の小学生の農業に対する理解を促進するため、教材本贈呈事業を展開し、農業に関する教材「農業とわたしたちのくらし」の配布や農業体験学習の受入れ等に取り組んでいます。
 教材「農業とわたしたちのくらし」は、JAバンクを通じて、2022年度には府内のすべての小学校へ約8万8千冊が配布され、学校の授業等において活用されています。

活動名 活動内容
小学校への出張授業の実施 食農教育教材本等を活用した出張授業を実施
府内14JAによる独自の事業 府内14JAが独自に食農教育活動を実施